菊花賞の「関東馬は来ない」はホント……?

いよいよ明日、菊花賞が行われます。

 

皆様も予想に勤しんでおられる頃かと思いますが、菊花賞に関するデータとして、一度は「関東馬は来ない」というものを目にされていることと思います。

 

(その割には、前日オッズで関東馬のブラストワンピースが1番人気になっていますが……)

 

ですが、単純に「関東馬だから」という理由だけで、果たして馬券から外してもいいのでしょうか。この点について調べてみました。

 

 

まず、過去10年間の関東馬の成績をまとめましたので、そちらをご覧ください。

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菊花賞―過去10年間の関東馬の成績



単純に関東馬の成績をまとめると【0.0.1.4.3.37】となります。
複勝率がわずか2%、掲示板圏内まで広げても17.8%にしかなりません。

 

では、なぜ「関東馬は来ない」のでしょうか。

 

次に、上の表から人気と着順の関係に着目してみましょう。

人気と着順の関係をまとめてみると、次のようになります。

 

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これを見ると一目瞭然ですが、関東馬全45頭のうち2人気3頭、3人気2頭、4人気5頭、5人気1頭……と、そもそもあまり人気を背負った馬がいないということになります。

 

そこで考えられるのが、馬券購入者の心理として「関東馬は来ない」というバイアスが掛かったために人気が落ちた、という可能性です。

 

 

次に、上の表からステップレース(神戸新聞杯セントライト記念)での着順と菊花賞での着順を考えてみましょう。

 

そもそも、ステップレースで好成績を収めた馬が菊花賞本番でも好走をする確率が高いというのは、一般的に考えると明らかでしょう。

 

ですので、上の表から、ステップレースで好成績を収めた関東馬をピックアップすると次のようになります。

 

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これを見ると、関東馬のため好成績を収めたのは全てセントライト記念となっています。

 

ですが、セントライト記念で3着以内に入っても、菊花賞本番での結果に結びついていないことが分かります。

 

では、そもそもステップレース別の菊花賞での成績はどうなっているのか調べてみました。

 

神戸新聞杯(8.6.5.51)

セントライト記念(1.3.1.45)

 

過去10年の勝ち馬のうち、8頭がステップレースとして神戸新聞杯を経由しており、そもそもセントライト記念を経由した馬は菊花賞ではあまり馬券に絡んでいないことが分かります。

なお、セントライト記念を経由して馬券に絡んだ馬はいずれも関西馬です。

(2017クリンチャー    セントライト記念9着 ⇒ 菊花賞2着)

(2015キタサンブラック  セントライト記念1着 ⇒ 菊花賞1着)

(2013バンデ       セントライト記念6着 ⇒ 菊花賞3着)

(2012スカイディグニティ セントライト記念2着 ⇒ 菊花賞2着)

(2009フォゲッタブル   セントライト記念3着 ⇒ 菊花賞2着)

 

ここから分かることは、レースレベルとして明らかに神戸新聞杯セントライト記念ということです。

 

また、関西馬の多くが神戸新聞杯に、関東馬セントライト記念に出走するということを考えても、単純に馬の能力=馬質が関西馬関東馬となっていることが窺えます。

 

最初に示した表をご覧いただくと、「東京優駿(ダービー)」と「皐月賞」に出走した馬の人気と着順も併記していることに気づかれると思います。

 

そこからも分かる通り、関東馬が同世代の最強馬を決めるクラシックレースでも成績を残せていません。

 

ダービー及び皐月賞掲示板を確保した関東馬は以下の7頭です。

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ダービー、皐月賞ともに好成績を収めたのは2016ディーマジェスティ、2008マイネルリチャーズの2頭ですが、ともに菊花賞では2人気を背負い、掲示板を確保しています。

 

この2頭に関しては能力も高く、菊花賞でもそれを示せたと言えるでしょう。

 

2009ナカヤマフェスタに関しては、後に凱旋門賞で2着に入るなど高い能力を持っていた馬ですが、こと菊花賞に限定すると初の輸送競馬が響いて惨敗。宝塚記念では、レースの一週間前から栗東入りして1着になっています。

 

当日3人気に推された2008スマイルジャックは、先行したが最後まで脚がもたず、端的に言うならば脚が持たなかったことが敗因でしょう。

 

その他の馬は、ダービーや皐月賞では掲示板を確保しても、その後の戦績が振るわなかった馬たちばかりで、菊花賞でも惨敗しています。

 

 

 

以上を踏まえると、「関東馬は来ない」と言われるその要因は、馬質の西高東低に起因すると言えるでしょう。

 

そもそもフルゲート18頭立てのレースですので、10年間で約180頭が出走したことになります。そのうち関東馬はわずか45頭で、しかも有力馬の割合が低いとなると、データでは【0.0.1.44】となってしまうのも仕方ありません。

 

ですので、「関東馬だから」という理由だけでひとくくりに消すのはやめましょう。

関東馬だから来ない」のではなく、単純に関西馬に比べて馬質が劣っていたから来なかっただけなのです。

 

ということは、逆に関西馬よりも馬質の良い馬であれば、勝つチャンスはあるということです。

 

その馬に能力があるのかを考えて、これまでの相手関係などから、能力的に関西馬にも十分に通用するようであれば、迷わずに印を打たれる方が賢明かと思います。

 

 

データとは、馬券購入の際に非常に役立つものです。しかし、データとはあくまでも統計であり、その統計から導き出される「実像」をしっかりと把握しないと諸刃の剣となってしまいます。

 

秋華賞に関しても「関東馬は来ない」というデータがありましたが、恐らく同様の理由かと思われます。はっきりとデータを取った訳ではないので、ここでの断言は控えさせていただきますが……。)

 

 

万が一、「関東馬は来ない」という理由だけで関東馬を消した方がおられましたら、もう一度考察し直されてはいかがでしょうか。

 

とはいっても、やはり関東馬は「長距離輸送」という大きな不利があります。

ですので、これまで輸送競馬の経験があるのか、遠征先で成績を残せているのか、という点は考慮に入れるべきかもしれませんね。

 

 

なお、菊花賞の予想はこちらで公開しております。まだご覧になっていない方はぜひ一度ご覧になってください!

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